先日のニュースによりますと、社会保障審議会介護保険部会で、今現在介護保険の区分で要支援となっている方の支援を、市町村に移行する旨が話し合われていると報じられていましたが、具体的な内容等が徐々にわかってきているようです。
新しい地域支援事業の内容とは?
では具体的に、市町村に移行される予定の「新しい地域支援事業」とはどのような内容なのでしょうか?
具体的には以下のような内容が検討されているようです。
- 介護と在宅医療の連携を促進する
- 認知症介護が必要となる開始時期に集中的に介護を支援する、初期集中支援チームなどの、認知症施策を推進する
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/dl/gainenzu.pdf - 地域包括ケアシステムの実現のための、地域ケア会議の実践
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link3-1.pdf - 日常生活で必要なサービスを提供する、生活支援サービスの充実
http://www.shakyo.or.jp/research/2010_pdf/livelihood_support_all.pdf
などが挙げられています。
それぞれの内容の詳しい説明は、リンク先に細かく書いてありますが、どれもコーディネートやサービスのマネジメントの高い能力が求められる内容となっていますね。
特に初期集中支援チームは、主に認知症の初期段階で各関係者が連携して集中的に、本人と介護者を支援するという主旨なので、「各関係者間の密接な連携」と、「初期段階に集中して行うので時間との戦いがある」という2つの大事なポイントがあります。
この2つのポイントを十分に適切に行うためには、全体を見渡せる広い視野と、人的ネットワークが必要とされるのではないでしょうか。
また、生活支援サービスは、先日ブログで郵便局が高齢者サービス事業に乗り出したと紹介したばかりですが、民間会社と公的サービスとの効率的な運営をどのように行っていくのかなど、課題もたくさんありそうです。
本当にサービスが十分に提供されるのでしょうか?
上記のサービス内容はとても魅力的な内容で、すべてが十分に提供されれば地域福祉はかなり充実されると思われます。しかし、福祉は労働集約型サービスですので、当然人的資源がどれほど確保されるかが重要なポイントとなって来ます。
質・量ともに十分な人材を確保できるかどうかは、市町村の意思に委ねられているのですが、そうなると懸念されるのが、市町村間でのサービス格差ですね。
こちらのサイトでも紹介されているように、地域包括支援センターでは慢性的な人員不足が顕著になってきています。
http://www.care-news.net/fukuoka/2010/12/09/151953.html
人員確保などの施策は、市町村の予算の大きさでも大きく変わってきますが、何より市長・村長がどれほど福祉に力を入れるかでかなり変わってくるのも事実です。
国は最低限の地域包括支援サービスを担保した上で、市町村独自のサービスが上乗せされるよう、慎重な移行計画を立ててもらいたいものです。