日本介護福祉士会の石橋真二会長と内田千惠子副会長は6月20日付けで、菅内閣官房長官宛に「介護福祉士の雇用環境の整備等に関する要望書」を提出しました。
主な主旨は
- 介護現場での介護福祉士の割合を高めること
- 介護現場で安心して意欲と誇りを持って働くことができる職場環境を整備すること
などです。
そのための具体策としては
- 成功報酬制の創設
- 認定介護福祉士の構築
などが挙げられています。
さらには、
- 腰痛防止の徹底
- 夜勤における勤務の負担低減
- 給与額、人件費率の好評の義務付け
- 准介護福祉士制度の早急な廃止
なども盛り込まれています。
介護の現場での成果報酬と聞くと、ピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
介護現場において成果とは一体何をもって定義できるのか?
と私は、単純に思ってしまうのですが、要望書では簡単に「要介護度の改善」とだけ書かれています。
ようするに、「要介護度が下がったということはつまり、がんばったということだから報酬をあげてよ」という主旨だと思います。
がんばればがんばった分、お給料が上がる仕組みですから、利用者さんもQOLが上がり、介護福祉士のモチベーションも上がりで、いいところだけのような気がしますね。
しかし、物事はそう単純ではなく、注意しないといけない部分もあると思うのです。
それは、この成果報酬が行き過ぎると利用者さんのQOL向上が目的ではなく、報酬が目的となってしまうということです。
成果報酬型の給料体系は、一時日本でも欧米型の給料体系を見習おうということで、かなりの企業で取り入れられた過去があります。
しかし、必ずしも成功したとは言えないのが現状です。
成果主義賃金は本当に望ましいのか
http://www.waseda.jp/student/shinsho/html/73/7323.html
成果主義賃金の機能不全と 不十分なリスク・プレミアム
http://www.myilw.co.jp/life/publication/quartly/pdf/49_01.pdf
成果報酬にばかり目が行くと、本来の業務目的(介護福祉士の場合は、利用者さんのQOL向上等)が上がった結果、報酬があがるという流れが逆転し、成果報酬を上げるために仕事をするという流れになることも、十分に考えられるのです。
そうなると、利用者さんへの無理な要求、提出書類の改ざんなども当然考えられることです。
報酬制度はもちろん大事だとは思いますが、啓蒙活動やチェック機能が十分に働くよう、常に工夫することが大事になってくると思います。